賃貸住宅に住んでいる人は、契約更新のタイミングで家賃の値上げを通告されることがあります。
コバヤシは実家ぐらしなので関係ないのですが、アニキがちょうどその値上げ宣告を食らいました。要約すると
「昨今の地価高騰とそれに伴い家賃が上昇しており、つきましては賃料を月3,000円値上げしますetc」
みたいな内容の書面が送られてきたのでした。コバヤシは
3,000円くらいしょうがないんじゃね?
と思ったのですが、兄いわく
いや!1人の時ならまだしも、嫁と子どもがいるから3,000円だとしても断固戦う!
うーん。既婚者は強し。
というわけで、家賃値上げ反対を掲げて決起したわけですが…
結論から書いてしまいますが、なんと
家賃据え置き大成功
です。
自分たちもびっくりなのですが、やればできるもんですね。
で、自分たちのケースしかないので確実とは言えませんが、こんなやり方をしたらうまく行ったよ!という方法をシェアしたいと思います。
家賃の値上げを拒否できる法的根拠
お金や契約の話になったら頼るべきは、法律の存在です。
この項はただの知識なので「値上げを回避した方法だけ知りたい!」という人は飛ばしてOKです。
「借地借家法」という法律には、家主には家賃を上げたり下げたりする権利が定められています。
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
>>>借地借家法 第三十二条
つまり、地価が上がったとか税金が上がったとかの理由で家賃を上げてもいいってことだね。
法律で決まってるならもうアウトじゃん…と諦めるには早いです。法律は平等。
借主の方にも次のような権利が認められています。
2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
>>>借地借家法 第三十二条
なんか難しい上に裁判という単語が入っているのでビビりますが、本当に裁判で争う必要はありません。
「裁判になった場合、判決が出るまでは増額される前の家賃を収めればいい」という法律です。
言い方を変えると「お互いが納得するまで、とりあえずもとの金額を収めればよい」ということになります。
つまり今までの金額でお願い!って主張する権利はあるということだよ
かといってただ無視してたらマジで裁判になる可能性があるので注意。
大事なのは双方の合意です。通告を無視するのではなくてキチンと交渉してお互いが納得する契約になれば裁判など不要です。
っていうかお互いが納得できない時のために裁判があるんですけどね。
家賃据え置き交渉は書面で
家賃の値上げを拒否するには交渉が必要です。
ネット情報では「電話一本で家賃の据え置き交渉に成功した」という情報もありました。
しかし、電話交渉では勝ち目は薄いと考えた方がいいでしょう。
要するに「丸め込まれる可能性が高い」ということです。
交渉は法律を根拠にするのが最善ですが、素人が話しながらその場にあった法律を繰り出していくのは不可能です。
それができるのが弁護士ですね。やっぱ弁護士すげぇ。
ではどうするか。答えは「書面での交渉」です。
書面ならじっくり調べて根拠や理論を組み立てられますし、相手の返答にとっさに返してボロを出す心配もありません。
というわけで、家賃値上げの通告に対する回答書を作ることに。
値上げに対する回答書作成
ただ適当に「家賃値上げ反対」なんて手紙を送っても意味がありません。交渉に使う文書には「内容」と「しかるべき形式」が重要です。
内容証明と配達証明
ここで活用するのが郵便局のオプションサービス「内容証明」と「配達証明」です。文書を出すときに郵便局の窓口で申し込みましょう。
つまり、この2つの制度を活用すると「そんな文書が届いていない」とかいって無視することができなくなります。
ここまでしなくていいんじゃないの?と思われるかもしれませんが、実はもう一つポイントがあります。
個人の主張など、大きな企業にとってはハエのような存在です。
しかし、公的な制度を使うことによってこちらの「権威性」を高めることができます。
さらに「ちゃんと法律や制度を調べているんだぞ」というハッタリも効きます。
まさに虎の威を借る狐作戦。ここはもう威を借りまくりましょう。
文書の内容
ただ素人の個人が「こちらの生活が苦しいので」などと感情大爆発の抗議文を送っても、すぐに主張が通る可能性は低いでしょう。
不動産屋としては「知らんがな。嫌なら出ていけ」となって泥仕合になること必至です。大事なのは
ということです。なので、書く内容は「値上げして欲しくない理由」ではなく「値上げが妥当ではない理由」を書くべきです。
つまり、「築年数や周りの物件の家賃、立地条件を考慮した結果…」みたいに書きましょう。
「周りも家賃上がってるししょうがないかな」とか考えなくていいです。とりあえず上のように書きましょう
もう一つ重要なのは「こんな家賃払うか!」と言ってしまうと「支払いの意思がない」とみなされ自分が不利な立場に陥ります。
そうではなく「今まで通りの額を払いますね〜」という主張にしてください。
文書の形式
それで文書は内容証明に定められた形式で書く必要があるのですが、これがまた珍妙です。
以下、郵便局ホームページに載っている内容証明の形式です。
区別 | 字数・行数の制限 |
---|---|
縦書きの場合 | ・1行20字以内、1枚26行以内 |
横書きの場合 | ・1行20字以内、1枚26行以内 ・1行13字以内、1枚40行以内 ・1行26字以内、1枚20行以内 |
???
なんかよくわからない決まりですが、おそらく大昔に使っていた用紙のフォーマットがアップデートされていないということだと思います。
専用の用紙があるのかもしれませんが、形式さえ守れば別に普通のワードとかで作った文書で出せます。
他にも細かい決まりはあるので、郵便局の「内容証明 ご利用の条件等」をご参考に。
実際に提出した文書
で、以上を踏まえて作成した家賃値上げに対する回答書です。
怪文書かな?
なんか余白とか改行とかが明らかに不自然な文書に仕上がりましたが、公的に定められた形式なので致し方ありません。
なんかヤバい奴の書類がきた…!と家主にプレッシャーを与える効果もあるかもしれませんね。
ともかくこれを持って郵便局に行き「内容証明と配達証明で」と言って提出しましょう。
ちなみに文面はこちらのサイトを参考にさせていただきました。
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結果発表:今までの家賃で住めることになった
書面を提出して約1ヶ月後、不動産屋からアニキに電話がかかってきました。
結果、
今まで通りの家賃にしてもらえました!!
正直なところ、もっといろいろ交渉があったりするだろうと覚悟してたとのことですが、文書一発で据え置き成功でした。
やはり公的な形式を利用したのが良かったのだと予想。単に面倒な奴だと思われたのかもしれませんが。
ともあれ、本人もまさか成功するとは思っていなかった家賃据え置き大作戦は見事コンプリート。
ダメ元でも一度やってみる価値はあるということですね!
コメント
この記事のおかげで更新時の家賃値上げを阻止できました!!
有益なブログ記事、本当にありがとうございました!!
お役に立てて何よりです!ブログ書いててよかった╭( ・ᄇ・)̑ﻭ ̑ グッ !