DIYで一番楽しいのは塗装。のコバヤシモンドです。
個人的にはオイルフィニッシュとワックスを多用するコバヤシですが、今回は一部にコアなファンがいると噂の「柿渋」を試してみました。
存在は以前から知っていたのですが
柿渋?ああ、ジャパニーズなやつね
と、ヨーロピアン的感覚のコバヤシは使用してきませんでした。
やかましいわ
ところが今回、なんとなく気まぐれで使ってみたところ
もうハマりました。
使い道も多いし、仕上がりもステキだし、何より簡単。ラク。
これはしばらく柿渋の可能性を探る時期が続きそうですわ…
伝統的発酵自然塗料「柿渋」
日本の「伝統的」「発酵」「自然」塗料。
これでもかというくらいのパワーワードの詰め込み具合ですね。良さげなイメージしかない。
まだ青い渋柿の汁を発酵・数年間熟成して作られるのだとか。
1000年くらい前から使われているとのことで、昔の人はどんな発想で「渋柿はこうやって使える!」と思ったのか聞いてみたいものですね。
柿渋の効果
柿渋の代表的な効果として
があります。
塗料として求められる効果をひと通り兼ね備えていますね。
木材に塗った場合の保護効果の程度については後ほど少し検証してみます。
安全・カンタン
柿渋は人体に無害とされ、シックハウス症候群を起こさない健康的な塗料として評価されています。
せっけんやサプリメントなんかにも使われていますね。
ただ塗料として売られているものは、さすがに食用にはしない方がいいと思いますが…
そして使い方は「ただ塗るだけ」。後から詳しく書きますが誰でも簡単に塗装できます。
木材(SPF・2×4材)への塗装
今回はいわゆるSPF材(2×4材)と呼ばれる木材に塗装してみます。
ホームセンターで買える、DIYでおなじみの材料ですね。(ホワイトウッドもほぼ同じようなものです)
「SPF」と「2×4」の言葉のちがいが気になる人は別の記事で解説しているのでよかったらどうぞ。
塗るのはシマモトさんの「上柿渋」。
世の中には柿渋独特のニオイを抑えた「無臭柿渋」というのも開発されているようですが、せっかくなのでニオイも含めた本来の柿渋を堪能してみたいと思います。
クサイのが嫌な人はこちら
ちなみに前提として、材料のSPF材は下地処理として#120、#240の紙やすりで表面を整えてあります。
柿渋:水=1:1で希釈
柿渋はそのまま原液で塗っても良いそうですが、「2倍に水で薄めるとムラなく塗りやすい」と書いてあったので柿渋初心者のコバヤシはいう通りにします。
一応、はかりでキッチリ1:1にしましたが、たぶん多少てきとうでも大丈夫だと思います。
ウレタン系塗料なんかはA液とB液を完全な割合で混ぜないといけないので、柿渋の手軽さはありがたいですね。
薄めた柿渋をペーパータオルに取ったところ。上品な色味ですね。
ハケで塗りつける
ハケに柿渋を含ませて塗ります。
布に含ませて塗ることもできますが、ハケの方がやはり効率的に塗れました。水性塗料用(もしくは多用途)のハケを選ぶと良いです。
液の感じはシャバシャバで色のついた水を塗っている感じ。
ベタつきもないので繰り返し触れてもグチャグチャになりません。初心者にも安心です。
ただ、染み込みが多いせいかオイルと比べると伸びがイマイチ。意外と量が必要かも。
一度塗り。ほんのり薄いオレンジ色がついたように。
重ね塗りで効果UP
柿渋は一回で塗れる量がごく薄いので、繰り返し塗るのが基本となります。
一回の塗りが乾燥したら(初夏で3時間くらい?)上から同じように塗布。
コバヤシはとりあえず2倍に薄めた柿渋を3度塗りすることにします。
感覚的に、一回の塗りがもたらす保護効果はかなり弱そうです。
色の問題もありますが3回くらいは重ねた方が良いように思います。
2倍に薄めた柿渋を3回塗ったところ。時間が経つとさらに色が濃くなるのでしょうか。
仕上がり&効果検証
で、下が塗装して5日後の写真。
なんか組み立っちゃってますが、ほんのり赤褐色のキレイな色になっています。
塗装後の発色
はじめは色が薄く感じましたが、比べてみるとけっこう色づいていますね。
しかもオイルステインみたいにいかにも「塗装しました」って感じじゃない自然な仕上がりです。
コレは予想以上に良い!
数ヶ月、数年と時間が経った時にどれだけ濃くなるかは未知数ですが…
何にせよ将来が楽しみです。
手触り・質感
ツヤなどは全くないですが、かといってオイルフィニッシュのようにしっとりスベスベでもない。
「え?なんか塗ってあるの?」
っていうくらい無塗装に近い質感です。
でも、無塗装と比べるときちんと保護されてる感は確かにあるんですよね。表面がちゃんと固まっているというか…
言〜葉に〜できなぁい〜
これはやる人のさじ加減次第ですが、今回は ”重ね塗りの合間のやすりがけ” をしていないんですよね。
オイルフィニッシュやラッカー塗装の重ね塗りには必ず表面をスベスベにするためのやすりがけをするんですが、柿渋はちょっと表面がカサついたくらいがちょうど良いというか…
まあこれは個人的な感覚なので聞き流してください。
柿渋の保護効果
塗装をするいちばん大事な目的は「木材の保護」です。
柿渋は他の塗料と比べて「塗装してある感」が少ないですが、果たしてどうなんでしょうか。
水で2倍に薄めた柿渋を二度塗りしたSPF材と無塗装の同じ素材に水をかけてみます。
ちょっと写真がわかりづらいかもですが、すっかり木に水が染み込んでいる無塗装に比べて、柿渋を塗った方は少し水滴を弾いています。
ワックスやニスなんかに比べると撥水性は弱いですが効果がなくはない、といったところでしょうか。
じゃあもう少し激しく水をぶっかけてみました。
さすがにベチャッと濡れてしまいました。やはり2回塗り程度ではそこまで防御力は強くないかも。
しかし、水が乾いた後に違いが出ました!
無塗装の方は乾いた後も表面が毛羽立ってガサガサになってしまうのですが、柿渋を塗った方は色落ちやシミもなく、表面もサラサラのまま。
確かに表面の水を弾く力は弱いですが、内部まで水が浸透するのは防いでくれたみたいです。
過信は禁物ですが、それなりの効果は期待して良いと思います。防腐効果もあるみたいですしね。
メンテナンスもカンタン
塗装したものを長く使うにはメンテナンスのしやすさも重要です。
柿渋はニスやラッカーみたいに塗膜を作るわけではないので、メンテナンスはただ上から塗り重ねるだけでOK!
表面が荒れているなら#400くらいのサンドペーパーで整えてから塗り重ねるのがベターだと思います。
塗り重ねるうちにだんだんと味わい深くなるのを楽しむのも一興ですな。
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まとめ:いろいろ試したくなるおすすめ塗料です
使いやすさ、仕上がり感、安全性。DIYで重視したい塗料のポイントを十分に満たしている柿渋。
今まで使わなかったのがなんかもったいない気分です。
さらに興味をそそるのが
布を染めるのにも使える!
ということ。
なんなら紙でも染められます。
これは着なくなった服のリメイクにも使えるのでは…?
ということで、洋服の柿渋染めもやってみました。
どうやら深い沼の入り口に足を突っ込んでしまった予感がする今日この頃。
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