ども。天然のワックスが溢れるコバヤシモンドです。
DIY木工での仕上げには塗装が必要になりますが、初心者でも手軽にできておすすめなのがワックス塗装です。
塗膜に不自然な光沢が出ないのでナチュラルに仕上げたい場合に最適ですし、色つきのワックスを使えば市販の木材をアンティーク風に見せることもできます。
この記事ではいくつかのワックスの種類と特徴を比べてみました。
ワックスの基礎知識
ワックスの効果
ワックスというと床にモップなどで塗る液状の艶出し剤をイメージする人がいるかもしれませんが、ここではちょっと違います。
ワックスは本来「蝋」のことで、半固体の油脂のこと。
床に塗る液状のものの多くは合成樹脂でできていて「ワックス」という名前は商品名として採用されているだけだと思って良いです。
木材は、種類によって程度は違いますが塗装なしでは時間とともに劣化します。
繊維の隙間に水分や汚れ、雑菌が入って腐敗していくからです。また水分が繊維に入り込むことで木の表面は毛羽立ち、ガサガサになります。
ワックスを塗ることで
といった効果が見込めます。
色付きのものであれば周りのインテリアに合わせたり、アンティーク風にしたりと趣味性も活かすことができます。
ワックスの使用方法
ワックスは基本的にどれも同じような使い方で
- 布orスポンジorスチールウールですり込む
- 数分待つ
- 布で拭き上げる
と簡単なので、DIY作品の仕上げや既存の家具のメンテナンスにおすすめです。
DIYなどで作った無塗装の木工作品にはそのまま塗っても良いですし、オイルフィニッシュで仕上げた上から塗るのもおすすめです。
既存の家具のメンテナンスでは、ラッカーなどと違って元の塗装を溶かす心配が少ないのでワックスをそのまま上から塗るだけでも効果があります。
ワックスの選び方
ひとくちに木工用ワックスといってもたくさんあります。
一番メジャーなのが「BRIWAX」で、木工の仕上げにはとりあえずこれを選んでおけば間違いはないです。
ただ使い心地や用途によってもそれぞれ特徴があります。
- 家具や建具などに使うのか?
- 食器に使うのか?
- 塗りやすさやコスパも重要?
色々と判断基準はあると思います。
どれを選べばいいのかわかんねぇ…わかんねぇよ
という人は、ここからコバヤシが使用している木工用ワックスをザーッと紹介していきますのでご参考くださいな。
家具や内装におすすめの溶剤系ワックス
そのままでは混ぜにくい複数の材料を溶剤で溶かして調合することで、木材保護に最適なワックスにしたものです。
各メーカーとも共通の材料もあれば違う材料もあり、それぞれ微妙に性質が違います。
ブライワックス オリジナル
知名度としてはNo. 1と言ってもいい「ブライワックス オリジナル」です。
主な成分 | 蜜蝋、カルナバ蝋、トルエン(他くわしい内容は不明) |
---|---|
塗りやすさ | |
色数 | 14色 |
匂い | 溶剤臭が強い |
コスパ |
イギリス産のワックスで、DIYで使われるものとしては定番ですね。
他のメーカーと比べてカラーバリエーションが多く、すごく微妙な色味の使い分けができます。この例では「ラスティックパイン」というちょっと薄めのブラウン系の色を使いました。
ワックスは柔らかめの調整で、気温が低いときは固形ですが暑い日には半ば液状化したようになります。
写真をとった日は気温25℃くらいかな?少し溶けていますね。
ちなみに別に溶けても問題なく使えます。塗るときは布などにとって塗ってもOKですが、スチールウールを使って擦り込むように塗ると綺麗に仕上がります。
スチールウールは#0000という繊維の細かいものを選ぼう
ブライワックスは柔らかい分、木材に染み込むようによくなじみます。
ちなみにこのラスティックパイン色はDIYでよく使われるSPF材やパイン材と相性がいいです。
伸びがよく塗りやすい点と発色の良さから、誰にとっても使い勝手の良いワックスだと思います
問題は溶剤であるトルエンの匂いがやや強烈であること。ワックスが柔らかめということはそれだけ溶剤の割合が多いのかもしれません。
溶剤は揮発するので乾燥後はほとんど匂いは残りませんが、基本的には外で作業した方がいいでしょう。
どうしても屋内で作業する場合は、しっかり換気をしましょう。
ブライワックスを上手に仕上げる塗り方は次の記事にて解説しています。
なお塗った後も色移りが起きがちなので、気になる人はこちらの記事もどうぞ
溶剤のトルエンが入っていないブライワックス トルエンフリーという商品もあります。 匂いは少なめですが色ツヤはやや控えめになります。色は6色。
ターナー アンティークワックス
日本の絵の具メーカー、ターナー色彩がリリースする「アンティークワックス」です。
主な成分 | 蜜蝋、カルナバ蝋、有機溶剤(ノルマルパラフィン)、合成樹脂(亜麻仁油変性) |
---|---|
塗りやすさ | |
色数 | 8色 |
匂い | ほとんど気にならない |
コスパ | |
公式ページ | https://turner.co.jp/antiquewax/ |
ターナーはアイアンペイントやミルクペイントもそうですが、色のセンスといいパッケージデザインといい日本のメーカーとしてはトップクラスのおしゃれ感ですね。
>>>ターナーアイアンペイントの使い方。剥がれる素材に塗る方法も解説!
ブライワックスとは違い、かなり固めのワックスです。常温でも固形。
感覚では冷蔵庫から出したばっかりのマーガリンくらいの固さです。
安全性にもこだわっており、溶剤には毒性が低いとされるノルマルパラフィンというものが使われています。
なんとなくクレヨンのような匂いでブライワックスのような刺激臭も少なく、室内作業も苦になりません
こちらの例はオーク材で作ったワゴンにワトコオイル(ナチュラル色)を塗った後、アンティークワックスで仕上げた例。
他のワックスと比べても、表面のコーティング感が強いので触れることの多い家具用に向いていると思います
マイランズワックス
ちょっとマニアックなイギリスの「マイランズワックス」。
主な成分 | 蜜蝋、カルナバ蝋、シェラックワックス、パラフィン、他 |
---|---|
塗りやすさ | |
色数 | 7色 |
匂い | 少し溶剤臭あり |
コスパ | |
公式ページ | https://kent-uk.com/jp/product/maintenance/ |
あまり日本では知名度はありませんが、本国では「英国王室御用達」の称号を与えられた老舗塗料メーカーのマイランズ。
「英国王室御用達」というネームバリューに圧倒されたコバヤシはほとんど情報もないまま買ってみたのですが、これがすこぶるいい。
固すぎず柔らかすぎずの使いやすい硬度です。スチールウールでサクッとすくって塗り広げられます。
なんかワックス自体に美しさを感じるのはコバヤシだけでしょうか?(※王室御用達のイメージに脳が侵食されている可能性)
溶剤臭は多少ありますが、ブライワックスほど強烈ではありません。
食器にも使える自然系ワックス
ミツバチが巣の材料として作る蜜蝋(Bees wax)をベースに、口に入れても安全な材料のみで作られたワックス。
木製食器の仕上げやメンテナンスに最適です。
未晒し蜜ロウワックス
国産の天然素材のみで作られた「未晒し蜜ロウワックス」。
主な成分 | 国産未晒し蜜蝋、エゴマ油 |
---|---|
塗りやすさ | |
色数 | 1色(無色) |
匂い | ほとんどしない |
コスパ | |
公式ページ | https://mitsurouwax.com/cont03/ |
この製品の特徴は「未晒し蜜蝋」と「えごま油」のみで作られているということ。
食用にもできる材料から作られているので、木製食器やまな板、カッティングボードのお手入れに最適です。
質感はバターのような半固形。スポンジにとって塗るのが有効です。
公式ホームページでは「化学塗装の上からは塗れません」と書いてありますが、ぶっちゃけ塗れないわけではないです。
まあ、塗装の上からだと浸透しないので効果は半減だとは思いますが。
少量でもよく伸びて非常に塗りやすいです。匂いはほんのり植物油っぽい匂いはしますが、全く嫌な匂いではありません。
塗った部分はほんの少し色が濃くなりますが、よく目を凝らさないと区別がつきません。
これまで紹介したワックスと違って溶剤が入っていないので安全性が高い反面、硬度の高いカルナバ蝋などの成分を含まないので木材保護効果は弱めです。メンテナンスはこまめにしましょう。
あと、価格は高いです。。
安全性はパーフェクト級なので、化学物質に敏感な人はこの「未晒し蜜ロウワックス」一択です
Wood Food 天然艶出し蜜蝋ワックス
こちらも溶剤を使わない自然素材系の「天然艶出し蜜蝋ワックス」。
主な成分 | 国産蜜蝋、ミネラルオイル |
---|---|
塗りやすさ | |
色数 | 1色(無色) |
匂い | 数種類のフレーバーあり(性能は同じ) |
コスパ | |
公式ページ | https://www.junnodesign.com/woodfood-wax/ |
上記の「未晒し蜜ロウワックス」との違いは成分に植物油の代わりに木材保護効果がより高い「ミネラルオイル」が使われていること。
「ミネラルオイル」とは石油を精製する過程でできるオイルです。
石油からできていると聞くと「ゲッ」と思う人もいるかもですが、純度の高いミネラルオイルは人体に悪影響はなく、化粧品やベビーオイルなどにも使われます。
食品グレードの純度のミネラルオイルは口に入れても大丈夫なので木製食器の塗装にも使えます
見た目は蜜蝋そのものですが、前述の「未晒し蜜ロウワックス」よりも固めで「冷えたマーガリン」くらいの質感。
スポンジまたは布にとって塗ります。
塗った部分ですが、見た目ではほとんどわかりません(写真の真ん中らへん)。ほんの少しだけ色が濃くなります。
「未晒し蜜ロウワックス」との区別はつきません。
油っぽい匂いなどはありませんが、フレーバーが数種類用意されていてコバヤシは「ココナッツ」の香りのものを選びました。
ココナッツオイルが配合されていてほんのりココナッツのいい匂いがします。
匂いはすぐに消えますし、特に木材の保護効果には影響しないと思われるので、この辺は真剣に選ぶ必要はないかなと思います
オイルフィニッシュの上からワックスを塗ると素晴らしい仕上がりになります。
各ワックスの防水テスト
木材は無塗装だと繊維の隙間から水分や汚れが侵入して傷んでしまいます。最悪はカビや腐敗の元になります。
木の表面に膜を作り、木材を保護することがワックスの効果です。
各ワックスを塗った木材に水をぶっかけてみましょう。
溶剤系ワックスの撥水比較
真ん中の無塗装部分は水がべちゃっとついて染み込んでいますが、両端のワックスを塗った部分はしっかり水を弾いています。
ワックスの種類によって効果が微妙に違うのもわかりますね。
こうしてみるとブライワックスにかけた水は全てまん丸の玉になっていて、撥水性が頭ひとつ抜けている感じがしますね。
溶剤が多めで匂いがキツいブライワックスですが、そのぶん木材にガッチリ定着して保護効果を高めていると言えそうです
自然系ワックスの撥水比較
自然系ワックスはどうでしょうか。
どちらも溶剤系のワックスよりは撥水性能が劣るようです。これは安全性とのトレードオフなので仕方ないことですね。
さらに自然素材のみを材料とした「未晒し蜜ロウワックス」よりもミネラルオイルを使用した「艶出し蜜蝋ワックス」がよく水を弾いています。
全てが自然素材というと聞こえはいいですが、性能を求めるならある程度の妥協は必要ということでしょうか
よほど体質がデリケートでなければ「艶出し蜜蝋ワックス」がおすすめと言えますが、100%自然素材でないと不安!という人は「未晒し蜜蝋ワックス」を選ぶと良さそうですね。
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木部用ワックスまとめ
とりあえずコバヤシが所有しているワックスをザーッとご紹介しました。
それでも「どれを選べばいいかわからん」という人はまず「ブライワックス」を使ってみればいいと思います(食器などに使い場合を除く)。
ブライワックスは塗りやすさも発色の良さも塗膜性能も一番バランスがいいので基準になると思います。
流通も安定していて補充が簡単というのもポイントです。
慣れてきたら他ものも色々試してみましょう。
食器に使えるワックスはこの記事で「未晒し蜜ロウワックス」「艶出し蜜蝋ワックス」を紹介しました。
別のものを使いたい場合は、溶剤が入っていない「蜜蝋+植物油」みたいなシンプルな成分のもので「食器にも使えます」と明確に書いてあるものにしておきましょう。
口に入れるものなのでそこは絶対にチェックしよう!
ワックスはだんだん磨耗するのでメンテナンスは必要ですが、簡単に使えて失敗しにくいのがメリット。
個人的にはオイルフィニッシュをした上でワックスを使うのがベリーグッドな仕上がりにできるのでオススメです。
DIYの仕上げにも家具のメンテナンスにも使えるワックス、ご家庭におひとついかがですか?
コメント
モンドさんこんにちは!
現在オープンクローゼットの製作を計画中で、木材に塗る塗装に迷いに迷い、こちらに辿り着きました…。木の質感を残した着色をするのに、ワトコオイルを選択しようと思っているのですが、衣服を収納するため色移りが心配です…。ワックスを仕上げにかけようかとも思ったのですが、ブライワックスなども色移りしやすい、とチラホラ見かけたり、かといってニスだと工業製品感が出るような気もしたり…と悩んでおります。
衣服を置いても色移りしないオイルフィニッシュの方法について、何かご存知でしたらご教示頂けませんでしょうか(><)
えびさん、こんにちは!
ワトコオイルやブライワックスはどうしても完全に色移りなどがなくなるには時間がかかります。。
もし本物のオイルフィニッシュにこだわらないのであれば、覚えておきたいオイルフィニッシュの種類いろいろの記事で触れた「ワシンウッドオイル(油性)」がおすすめです。
記事の中では「本物のオイルではない(実際はウレタン塗料)」とdisった感じに見えるかもしれませんが、塗料としては優秀です。
乾くのが早く、ベタつきや匂いがほとんど残らない、オイルとほぼ見分けがつかない自然な仕上がり(オイルフィニッシュに習熟した人ならわかるかも、と言ったレベルの違い)。コバヤシが使ったのは透明だけで、色付きは使ったことないのですが固まった後の感じからすると色移りの心配もないんじゃないかと思います。
「絶対にオイルにしたいんだ!」というなら別ですが実用性重視なら全然アリなアイテムですよ(╹◡╹)
あ、ワシンウッドオイル、amazonのリンクを貼っちゃいましたが結構高いですね。近くのホームセンターの方が安く売ってるかもです!
ご回答頂きありがとうございます!
オイルフィニッシュにこだわりはなく、実用性と見た目重視だったので、おすすめ頂いたワシンウッドオイルを用いることにしました!
自分で調べていても恐らく辿り着かなかったと思うので、教えて頂き本当にありがとうございました!(^^)