どもども。オイル染み込ませ番長のコバヤシモンドです。
DIY初心者からプロ木工家まで幅広い層に支持されるオイルフィニッシュ塗料「ワトコオイル」。
初心者には意外と難しいニスやラッカーの仕上げと比べ、誰でもかなりのクオリティーが出せるのが魅力です。
ここでは基本的な塗り方と、さらにできあがりをレベルアップさせる工夫をご紹介します。
そもそもワトコオイルって何がいいの?って人はこちらの記事も合わせてどうぞ
ワトコオイルを塗る準備
準備するもの
ハケもしくは布はワトコオイルを木材に塗るのに使います。
今回は布を使いますが、細かい隙間や溝があるものに塗るときはハケの方が使いやすいです。
手袋は調理用のポリエチレン手袋などを使いましょう。
ワトコオイルの必要量
ワトコオイルの缶の容量は2種類あって、200ml入りと1ℓ入りがあります。
ワトコオイルは少量でも広い範囲が塗れます。メーカーの公表値によると
標準塗布面積 1Lあたり:約10m2
ピンときませんが
木の種類によっても変わりますが、目安として自作の木製テーブルを1つ塗るくらいなら小さい方の200ml入りでも十分に足りると思います。
1ℓ缶と一緒に買っておきたいもの
200ml缶の注ぎ口は普通のボトルキャップ状で使いやすいのですが、1ℓの缶は注ぎ口がこんな形です。
「で?」って思うかもしれませんが、このまま注ごうとすると確実にこぼれます。
それはもう見るも無残に周りをオイルまみれにすることになるのです。
そこで是非とも用意したいのがコレ
6年以上DIYをやっていて最近初めて知ったアイテムです。全っ然こぼれません。
今まで使っていなかったコバヤシがアホに思えました。。。1ℓの缶を利用するときには絶対にあったほうがいいですよ!
ワトコオイルの注ぎ口径は標準的な40mmなので、それに合うものを選ぼう
ワトコオイルの基本的な塗り方と上手に仕上げるコツ
ザーッとまとめるとこんな手順です。
- 下処理サンディング
#60のサンドペーパー(必要なら)
#120のサンドペーパー
#240のサンドペーパー
- オイル塗布一度目の塗り
布でたっぷり塗る
拭き取り後、30分〜1時間放置
- 二度目の塗り
1回目の4分の1ほどの量を塗布
- (省略可)ウェットサンディング
濡れた状態で#400のサンドペーパー
- 乾燥拭き取って24時間以上放置
乾いたら乾拭きして完了
では詳しく一つずつ説明します。
下地処理:サンディング
下地処理はワトコオイルの仕上がりを大きく左右します。地味で手を抜きがちな作業ですが一番重要といっても過言ではありません。
ホームセンターなどで買った木材ならあるていど表面は綺麗だと思います。
まずは#120のサンドペーパー(紙やすり)でサンディング。木材がスベスベになったら#240のサンドペーパーでさらにスベスベスベになるまで磨きましょう。
こういう「サンディングブロック」にサンドペーパーを巻くと均一にやすりがけができます。
サンドペーパーは#120の次は#240と、数値が倍になるようにかけていきます。
表面の凸凹が明らかに大きければ#60くらいから始めましょう。
表面が十分なめらかになったら、削り粉をしっかり拭き取りましょう。
水拭きは木材が毛羽立つのでNGです。乾拭きで。
1度目の塗り
今回の例はいちばん自然に仕上がる無色の「ナチュラル」を使用します。
木材にワトコオイルを塗ります。慣れないうちはどのくらい塗ればいいかわかりづらいですが、「ちょっと多いかな?」と思うくらいに塗りましょう。
ベチャベチャのちょい手前くらいまで思い切って濡らします。
多くても後で拭き取るので問題ないです。
15分くらいしてオイルが木材に十分しみこんだら、しっかりと乾拭きで表面のオイルを拭き取ります。
拭き取り後、1時間ほど放置します。
2度目の塗り
1度目の塗りから充分に時間をおいたら、2度目の塗りに入ります。
基本的には1度目と同じように塗りますが、2度目は木材の吸い込みが少なくなるので使用するオイルの量は四分の一くらいでOKです。
2度目を塗った後、必要な場合「ウエットサンディング」を行います。ウェットサンディングについては後で触れます。
必要な場合というのは
という場合です。
そこまで手触りにこだわる必要がなければ、2度目を塗った直後にしっかりと乾拭きをして余分なオイルを取り除きます。
また、しっかり拭き取ったつもりでも時間が経つと内部からさらにオイルが滲み出てきます。放置するとその部分だけテカったりするので、できれば1時間おきくらいに乾拭きをしましょう。
面倒だけどきれいな仕上がりのために…
木材は繊維の集まりでできていて、濡れると表面が毛羽立ってかさつきます。
オイルを塗った時も例外ではありません。下地処理の段階ではスベスベの表面であっても、オイルを塗って仕上げた後に触ると表面が砂っぽくざらつく…ということになります。
これは腕の問題でなくてほぼ確実に起こることなので、ウエットサンディングをしない場合、手触り感に期待しすぎるのは禁物です。
重要:乾燥時間は24時間以上→もっと余裕を持った方が吉。
その後、最低24時間は放置してオイルが固まるのを待ちます。
…と公式の説明ではありますが、体感的にはワトコオイルが完全に固まるには1週間以上はかかる印象です。
それまではワトコオイル独特の匂いが残ったり、塗装したところを触ると手がオイリーな感じになったりします。
ずっと触れていると洋服や紙などにはシミがつく恐れもあるので、実際の作品の使用はあくまで自分で乾き具合をチェックしながらにしましょう。
しっかりオイルが固まれば匂いはほとんどしなくなりますし、手触りや質感もバッチリな素晴らしい出来になります
さらに美しく仕上げるには
ワトコオイルの基本的な仕上げ方は書いた通りですが、さらに仕上げを美しくする方法があります。
ウェットサンディング
ウエットサンディングとは、濡れた状態でのやすりがけのことです。
油研ぎ、オイルサンディング、ウェット研磨などともいうよ
ワトコオイルでは2度目の塗りの後、オイルを拭き取る前に行います。
用意するものは#400の耐水サンドペーパー。これで濡れた状態の木材を研磨します。
この効果は下地処理のサンディングとは違います。下地処理のサンディングは表面の凸凹をなくし、塗料を均一に塗るためのもの。
一方ウエットサンディングは
という目的で行われます。特に重要なのが後者で、これによって表面のなめらかさとともに木材への水や汚れの侵入を防ぎます。
蜜蝋ワックスを使って仕上げる
オイルが完全に固まった後にワックスで仕上げるのはとても効果的です。
ワックスといっても床用の合成樹脂のつや出し剤のことではなく、蜜蝋などで作った木部保護剤です。
蜜蝋はミツバチが作る分泌物。固形でミツバチの巣の材料になります。
清潔に養蜂されたものなら巣も食べられます。(プーさんも蜂の巣ごと食べてますね)
※スズメバチとか他の蜂は泥とか木の屑とか唾液で巣を作るので食べられません
無塗装の木にワックスだけ単体で使う例もありますが、コバヤシはオイルフィニッシュをした上でワックスというのがオススメです。
お互いに防御力も補完しあいますし、手触り感も向上。色付きのワックスを使えばより見た目に深みも出ます。
ナチュラルな見た目のまま実用性の高い木製作品を作ることができるのです。
塗るときに知っておきたいこと
木材によって色のつき方が違う
公式サイトやショップなどでみられる、ワトコオイルで綺麗に色づいた見本は大抵オークなどの「広葉樹」を使ったものです。
一方、われわれが気軽に入手できるホームセンターで売っている木材は「スギ」「ヒノキ」「パイン」「SPF」…ほとんど「針葉樹」です。
重要なのは、柔らかい針葉樹は液体の吸い込み具合が部分によって均一でないため、色付きのワトコオイルを塗るとまだらに染まりやすいということ。
どれだけ気になるかは人によるでしょうが、コバヤシはけっこう不均一な色のつき方を気持ち悪く思ってしまう派です。
色の濃いワトコオイルほどはっきり差が出るので、まだらが嫌な人は無色の「ナチュラル」を選ぶのが良いかと思います。
色をつけたい場合は「ナチュラル」を塗った後で色つきのワックスを塗ればそれほど濃淡の差は目立たなくなります。
この方法だと濃い色にするのは難しいですが、自然な感じに仕上がります。
組み立て前に塗ったほうがいい?
組み立てモノを作る場合、
で迷ったりしませんか?
ワトコオイルの場合は
「組み立てた後に塗る」でOK。
理由はペンキなどと違って水平だろうが垂直だろうがおかまいなしに塗れるからです。
ペンキは垂直なものに塗ると垂れやすいので基本は水平に塗ります
このあたりの段取りを大雑把にしても不都合にならないのが、ワトコオイルを初心者にもオススメできるポイントですね。
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まとめ:基本の塗り方はこれでOK。興味のある人はオリジナルで色々やってみよう
今回の方法でワトコオイルは十分きれいに塗れます。
挫折することはほとんどないと思うので、木工初心者はまずはワトコのオイルフィニッシュから始めるのがベターだと思います。
せっかく作った作品がニスやラッカーで失敗したら絶望するよ
またワトコオイルにはプロにも愛用される奥深さがあります。
重ね塗りの回数を変えたり、色々な着色を試みたり、別のオイルや塗料とブレンドして性能を強化したり。
慣れてきたら自分のオリジナルな仕上げを試行錯誤してみるのもいいかもしれませんね。
コメント
[…] 参照:ワトコオイルの塗り方と上手に仕上げるコツをザーッと解説するよ […]
お世話になります。記事拝見いたしました。
わたしはタモ集合木材に、ワトコオイル(ナチュラル)を塗ったのですが、同様の工程をたどりましたが、2度目の塗装後の1時間後のオイル拭き取りをしたにも関わらず、木目の間からオイルが滲み出てきます。
それらが固まり、日がかわってしまうとキラキラ光ってみえるのですが、やはりこれは1時間おきに拭き取り続ける以外に方法はないのでしょうか?
アドバイスいただけますと幸甚でございます。
どうぞよろしくお願いします。
やすださん、コメントありがとうございます!
道管からの吹き戻し…厄介ですよね。ベストなのはこまめに拭き取ることですが、普通の生活をしていると完璧には無理ですよね。。
僕がやるのは、乾燥中に吹き戻しがあったら#800以上のサンドペーパーかスポンジヤスリで吹き戻したオイルの点を軽くこする…イメージでいうとそのときに出た削り粉を道管にすり込んでフタをする感じです。
これで上手くいくこともありますが、それでも吹き戻してきたり、こすりすぎると光沢が不自然になる場合もあります。
もう一つの方法としては1回目のオイルを少なめにするかです(表面が湿る程度。保護効果は落ちます)。
完璧なアドバイスとは言い難いのですが、多少でもご参考になればと思います!
コバヤシモンドさま
お返事どうもありがとうございます。
これは、導管からの吹き戻しというのですね。
わたくし、このようなDIYは初めてで、大変勉強になりました。
さわっている感じ、拭くと消えますし、伸びるのでオイルだな、と気が付きました。
吹き戻しに対し、再度オイルを塗りウェットサンディングをしますと、吹き出し(が固まった斑点)は消えるのですが、そこでリセットし、1時間毎に半日くらいウェスで拭く、もしくはこすことを続けるというのでもOKでしょうか?
どうぞよろしくおねがいします。
やすだ
吹き戻しがあった場所は再度オイルを塗るとまた戻ってくるので、乾サンディングにした方がいいと思います。
吹き戻しをサンディングしたあとは、
定期的に見てまた吹き戻すようならサンディングを繰り返してみて下さい。
拭き戻しがなくなったらウェスの乾拭きだけでOKです。
とりあえずこのように試していただければと思います。
コバヤシモンド様
お返事どうもありがとうございます。
アドバイスの通りにやりますと吹き戻しで困っていた箇所が改善されました。
しかし、びっくりしたのは30分くらい目を離すとまたオイルが浮いてきています・・・。
まだ、施工して30時間くらいですので、こんなものなのでしょうか・・。
30時間は長いですね…タモは特に吹き戻しが出やすい材料ではあるのですが。
こればかりは頑張って繰り返すくらいしかないかと思います(>_<)永遠に出てくることはないのでいつかは終わるはず。。